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預貯金の分割

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預貯金の遺産分割 

 先日,夫が死亡しました。遺産の中に預貯金100万円(普通預金)がありますが,遺産分割協議前に,銀行に払戻しの請求はできるのでしょうか?
 できるとしたら全部の払戻の請求ができるでしょうか?(妻,子ども2人の場合)

 法的には払戻請求できると考えられていますが,銀行に拒否される可能性が高いでしょう。

 ◎判例と金融事務
 預貯金などの金債権は,判例によれば,相続開始と同時に法定相続分に応じて当然分割され,各相続人に移転されるとされています。
 また,遺産分割後は,分割内容に従い各相続人に相続の開始のときにさかのぼって移転します。(夫が死亡した後の利息については,遺産にあたらないとして,遺産分割協議の影響を受けない場合があります。)
 この判例の立場では,これらの相続人は,金融機関に相続人であることを証明して,預貯金の払戻しや名義書換を請求できることになります。
 しかし,実際の金融機関の実務は,このような判例の立場に従っておらず,事後的に何らかのトラブルが発生し金融機関が免責されない事を防止するため,戸籍謄本や遺産分割協議書の提出等の厳格な手続を要求しています。また,払戻しや名義書換の具体的手続は各金融機関によっても異なりますので,その手続きについては事前に金融機関の担当者に問い合わせをする必要があります。
 なお,定期預金等の預金の種別によって結論が異なる場合があります。
 今後,普通預金についても判例が変更される可能性があります。(平成28年9月1日現在)

『平成23年7月改訂 Q&A遺産分割の実務』(清文社)参照