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ゴルフ会員権

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ゴルフクラブ会員権の相続

 ゴルフクラブの会員の地位(会員権)には,いくつかのタイプがあるが,一般的なのは「預託金会員制ゴルフクラブ」の会員権である。
 このような会員権は,単なる債権というより一種の契約上の地位と言えるが,その相続性をめぐって紛争が多数生じた。判例には相続性を否定したものがあるが,次のような事案に関するものであった。
 すなわち会則の中に「会員が死亡したときはその資格を失う」という規定があるゴルフクラブで,規則違反を理由に除名された会員が除名の無効を争って訴訟を提起したが,訴訟係属中に死亡した。最高裁は,上記会則を根拠に,「会員たる地位は一身専属的なものであって,相続の対象となりえないものと解するのが相当である」として,相続人が会員の地位を承継することを認めなかった(最判昭和53年6月16日判時897-62)。
 他方,会則に理事会の承認があれば会員としての地位の譲渡を認める旨の規定が存在するが,会員が死亡した場合に関する定めがないという事案で,最高裁は,相続と譲渡を区別する理由はないとして,相続人は理事会の承認を得て会員としての地位を承継しうるとした(最判平成9年3月25日民集51-3-1609)。
 ゴルフクラブの会員権は,譲渡が特約で禁止されていない限り,一種の財産権として時に高額で取引される。その場合,取引の対象となっているのは,会員資格そのものというより,理事会の承認等の所定の条件を満たせば会員となることのできる地位である。最高裁は,このような契約上の地位の相続による取得を認めたのである。

『民法Ⅳ』(東京大学出版会)参照